年次有給休暇の按分は認められるか?

社会保険労務士法人なか

2018年07月29日 23:04

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みなさまこんにちは、ラーメン大好き 古波蔵 精 です

先日退職時の年次有給休暇の取得についてあるSNSの投稿が話題となりました。

「年度途中で辞めても「有給休暇」は全部もらえる 会社を一蹴したツイッター民が話題」~弁護士ドットコムニュース~

投稿されたツイートによりますと、8月に退職予定だった投稿者が、退職にあたり付与されていた年次有給休暇の取得を上司と相談したところ、上司から、「今年度分は4月に20日付与されたけど退職が8月なので、按分すると取れる日数は8日だね」と言われたとのことです。

それに対し投稿者は、「それは労基法とか社則に書かれてなかったので、あくまで前例で会社としての希望ですよね。それを言ったら今まで消えていった有休分休みます」と反論したそうです。

年次有給休暇の按分は認められるのでしょうか。

労働基準法39条を要約すると、
①6ヶ月以上継続勤務し、かつ全労働日数の8割以上出勤した労働者に対し、10日の有給休暇を与えなければならない
②入社6ヶ月後から1年ごとに、継続勤務し、かつ全労働日数の8割以上出勤した労働者に対し、勤続年数に応じて定められた日数の有給休暇を与えなければならない
というように定められています。

つまり、勤続6ヶ月経過後は10日、1年6ヶ月経過後は11日・・・と言うように、労働基準法で定められた期間勤続した場合には最低限付与されなければならない日数は定められており、按分というやり方は認められません。

判例でも、「労働基準法39条の要件を満たせば、労働者は法で定められた日数の年次有給休暇を取得する権利を得る」(林野庁白石営林署事件)とされたところからも、発生した日数分の年次有給休暇は取得する権利が有り、それを事業主が按分するのは認められないと認識すべきでしょう。

また、ツイートの文中に「社則」という表現がありましたが、仮に就業規則で年次有給休暇の按分について定めたとしても、労働基準法で定められた基準を下回る労働条件となるため、その按分の定めの部分は無効となるのは言うまでもありません。

一方で、ツイート中の「今まで消えていった有休分休みます」とあるような、消滅した年次有給休暇の取得は可能でしょうか。

年次有給休暇の時効については、労働基準法115条における消滅時効の定めにより現行法上は2年とされております。

時効により年次有給休暇を取得する権利が消滅する事により、事業主も取得させる義務がなくなりますので、事業主が応じなければ取得できない、と言うことになります。

文脈から察するに、この会社はこれまで慣習的にこのような対応をしており、今回も前例を踏襲した手続きをしたつもりだった可能性が考えられます。しかし、今回お話ししたとおり、年次有給休暇に限らず、労務管理には法律の条文や行政の通達、判例等、法的なルールが存在します。

「うちはずっとこうやってきているから」「我が社ではこれがルールだから」ではなく、常に法的なルールを意識して、会社のルールが適法なものなのか常に見直し、職場環境の改善につなげたいものです。


宜野湾市伊佐 沖縄豚骨ばり の香めんです

今日も最後までお読みいただきありがとうございます。
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